Gravity Keycapsというキーキャップを作ったのですが、3Dプリンタである程度の数を量産するのに苦戦しています。
卓上射出成形機「TAIYAKI」
そんな中、卓上射出成形機「TAIYAKI」を開発、販売している@HAL900さんに声をかけていただきました。
このTAIYAKIは卓上とあるように、個人宅でも作れるように省スペースで射出成形ができるようになっています。組み立てキットになっているので、リーズナブルなお値段です。
TAIYAKIの素晴らしいところは、モールドベースというものを使うことで、光造形3Dプリンタで型を作れることです。通常は3Dプリンタで作った型はすぐ壊れてしまうのですが、モールドベースを使うことで補強しショット数を多くできます。
いきなりアルミなどの金属切削で型を作るのはコスト面でも心配があります。まずは光造形でモデルを作って、ある程度形が定まったところでアルミで作る、といった安心した開発ができそうです。
今回はGravity Keycapsの真ん中の3パターンに対して、光造形の型を作ってもらい、実際に射出成形したものをいただきました。
既存のモデルはMJFという3Dプリントの方式を想定して作られており、これはかなり自由度の高い設計ができます。このまま射出成形の型として使うのは修正を行う必要がありました。これまで射出成形が視野になかったわけではないので、ちょっとした知識はあったのですが、改めて実際のモデルを射出成形に対応するモデルに変更していく過程で、少しは特性が掴めてきたと思います。私が修正したものはモデルのコアな部分だけなので、ランナーなどを設計していくともっと理解が深められるのではないかと思いました。(抜き勾配はパーティングラインが大事ということを教えていただきました)
射出成形していただいたキーキャップ
前置きが長くなりましたが成形していただいたものを見ていきましょう。今回は、型の負荷が高くなってしまいますが、キーキャップでもよく使われているABSで作っていただきました。
光造形で作成した型なので、0.05mmピッチの段差は残ってしまいますが、触った感触は見た目よりも全然気になりません。
早速、キーボードにつけて使用しています。ほぼ違和感はないですね。良い仕上がりです。
試しに一つキーキャップをヤスリで軽く磨いてみました。積層痕もすぐ消えてマットな感じで良いです。型をアルミにしてシボ加工などしておけば良い感じになりそうです。
あと、注目すべきはこのChocの足です。やはり精度は良いです。大体のものは市販のChocキーキャップのようにはまっていきました。これは良いですね。一部、キーキャップ自体の体積が大きい種類では細めのものもありましたが、モデルなど改善することで解消できるのではと思っています。全体的に足はもうちょっと太く設計しても大丈夫かなとも思ったのでそれで解消されるかもです。3Dプリンタの型の時点でかなり良い印象です。
射出成形というと、必要な知識やコストが高そうというイメージがあって、選択肢に入りづらかったのですが、一歩踏み込めたことで、現実的な選択肢に入ってきたという感じがあります。
お声がけいただいたHAL900さんにはとても感謝しています。3Dプリントでの製造も進めていきますが、安定して普通の価格で提供するには射出成形はとても有効な手段なので、こちらも進めていきたいと思います。
TAIYAKI欲しいですね。10数万でこれができるとは。光造形を使えるところが近くにあったりすれば良いかもしれない。探してみます。