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『軸の秤』でChocスイッチ17種のフォースカーブを測定してみた

Daily Craft Keyboard店主のふくです。

この記事はキーボード  #1 Advent Calendar 2022の 16 日目の記事です。
15 日目はm.ki さんの「10 cm以内PCBを使った自作キーボードを作ったら、好みのキーレイアウトが変わった話」でした。
ある制約の中でモノを作ってみて、そこから新しい価値観を見つけ出すのは良いですね。自分は片側6列から抜け出れないので、5列に挑戦してみたいです。

Choc v1スイッチ

Daily Craft Keyboardを始める頃からChocの狭ピッチが気に入り、wings42を常用するようになっていました。コンパクトにできるのが最高ですね。

Chocのスタンダードなスイッチ(赤、茶、白、Red Pro)は比較的、手に入りやすかったのですが、Chocには重さや色の違う様々な特性を持ったスイッチがあるので、これらを取り扱ってみようと思いました。

調べてみると、ChocスイッチはKailhが純正で出しているものと、他の企業などとデザインやスペックを決定して作られるカスタム品があることがわかりました。

カスタム品で記憶に新しいのは「Sunset Tactile Switch」で、タクタイル感が物足りないと言われがちなChocでも、より感触の強いスイッチとして仕上げられています。他にもBoardsourceのPurpzやNovelKeysのJade, Navyなどがあるようです。あまり深くは調べられてないですが、色々歴史がありそうです。

いざ販売をすると考えると、スペックをちゃんと書かないといけません。仕入れ元に教えてもらうデータが基本ですが、データシートがあるものは少なく、他に参考にしようとするサイトの情報で数値が違うものもあります。また、Sunset Tactileは量産化の過程でスペックが変わっていくのを見ていたので、このような要因で古い数値が残ってしまうことがあるのかもしれません。一般的に認識されている数値を採用しているので問題はないはずですが、実測して確かめてみたいという気持ちが残っていました。

「軸の秤」の衝撃

そんな中、頒布が開始されたのが6日目のアドベントカレンダーでも記事にされているRomlyさんの『軸の秤』です。
フォースカーブ測定マシン『軸の秤』ってなんだ!?【キーボード Advent Calendar 2022】

Romlyさんはご自身でスイッチのフォースカーブを測定して、「軸の本」シリーズを頒布しています。
軸の本2 Mechanical Switch Data Book 2 - Romly Shop - BOOTH

このような事を、ご家庭でもできるようにしたキットが「軸の秤」になります。これは!と思い、早い段階で購入をさせてもらい、計測はしていたのですが、まとめられていなかったでこの機に活用してみたいと思います。

「軸の秤」にはwifiでwebを提供する機能もあり、測定したデータのグラフをブラウザから見ることができます。とても便利な機能なので、こちらのスクショを掲載していきます。

Choc v1スイッチの測定

測定風景


はじめXSwitchをつけたけど、反応が悪いスイッチがあったので一部Chocに変えてます。


キースイッチの台には、ないんさんの1k キーボードのケースを使わせてもらっています。安定していて良いです。

フォースカーブとは?

これから各スイッチのフォースカーブというものを見ていきます。フォースカーブの説明は同じく「軸の秤」を使用しているサリチル酸の記事がとてもわかりやすいのでおすすめです。

フォースカーブ測定マシン「軸の秤」を紹介するよ! 

ということで、順番に測定結果を見ていきましょう。

「軸の秤」とスイッチ自体の誤差や状態などもあるので、データシートのように完璧には出ませんが、十分な精度があると思います。 

共通項目

Choc v1のスイッチは共通して、
Total travel(総ストローク量)は3.0+0/-0.5mm
Conduction travel(スイッチがONになる接点の位置)は1.5±0.5mm
になります。
(例外などあったら教えてください)

リニア

 Pink

まずはリニアで一番軽いPinkから。
Pinkはちゃんとデータシートがありますね。

Operation Force :20±5gf
とあります。

Operation ForceとはスイッチがONになるとき、つまりConduction travelの位置にくる時の力になります。Chocだと1.5mm近辺ですね。データシートのグラフのoperating pointの部分です。以下、動作圧とします。

 では、軸の秤で測定したデータを見てみましょう。


Travelが1.5mmの時に、23.95gfとなっています。範囲内ですね。
ちょっとボコッとなっていたりする所があったりするのですが、一回分のデータなのでご容赦ください。

他にチェックしたいポイントしては底打ちの時の力で、ボトムアウトと呼んだりもします。グラフ右側の底を打って急上昇する辺りですね。グラフを見ると大体30gf程度でしょうか。Chocスイッチはストローク量が3mmと短いので底打ちする人が多そうなのと、ボトムアウトの数値をあまり見かけないので参考になると思います。

Blue

動作圧:20gf

こちらはデータシートは見つかりませんでした。
Pinkと同じ感じですね。

Purpz

動作圧:25gf

boardsourceさんが作られているようなので、こちらのページを参考にすれば間違いないと思います。データシートは無いようです。

グラフ上はPinkやBlueとあまり変わらないですね。

Red Pro

動作圧:35gf

メジャーなのにデータシートが見当たりませんでした。

 動作圧は35gfあたりですね。ボトムアウトは40gfくらいでしょうか。

Crystal Red

動作圧:35gf

Red Proと同じ動作圧ですね。

Crystal Silver

動作圧:40gf

Red Proより全体的に重くなっていますね。個人的にはこれくらいの重さが好みです。

Red

動作圧:50gf

こちらはデータシートがありますね。

 

良い感じですね。

Black

動作圧:60gf

順当に重くなっていきます。

Dark Yellow

動作圧:70gf

リニアで一番重いやつです。ボトムアウトは90gf近くまでいきました。

リニアは以上です。

タクタイル

Sunset Tactile 

動作圧:40±10gf
タクタイル力:55±10gf

情報はオフィシャルページから記載しました。

タクタイル力という項目を追加しています。
下記のグラフ、赤線の前半のポコッとした山の頂点の力です。
ここまで荷重が上がって、スコッと力が抜けるようになっています。

(グラフ作成時から仕様変更があり、値が変わっています)

リニアよりは複雑な動きをするので不安でしたが、特徴をよく捉えてますね。

Brown

動作圧:50±10gf
タクタイル力:60±10gf

データシート

Sunset Tactileと比べると落差が小さいことがわかります。

Burnt Orange

動作圧:60±10gf
タクタイル力:70±10gf

データシート

タクタイルはデータシートと比べると、後半の荷重が上がり気味になっていますね。
後ほど探ってみます。

タクタイルは以上です。

クリッキー

White

動作圧:50±10gf
タクタイル力:60±10gf

データシート

Robin

動作圧:57gf
タクタイル力:?

Jade

動作圧:50±10gf
タクタイル力:60±10gf

JadeはWhiteのクリックバーを太くしたものになります。
力のスペックは同じでも、実際測ってみるとタクタイル力が60→67gfと上がっています。データにちゃんと出てくるのが良いですね。

Pale Blue

動作圧:60±10gf
タクタイル力:70±10gf

 データシート

Navy

動作圧:60±10gf
タクタイル力:70±10gf

データシート

Jade同様、Pale Blueのクリックバーを太くしたものです。
こちらもタクタイル力が10gfほど強くなっているようです。

 

 まとめ

「軸の秤」素晴らしいですね。
データシートのあるものは比較して見ていきましたが、かなり特徴を捉えているのではないでしょうか。だいたいデフォルトの設定で測ったのですが、設定項目も多いので精度が上がるか色々試してみたいです。

現在も進化しているようなので、今後の製品にも期待です!
Twitter #軸の秤

Chocについて。今回、なるべくデータシートやサイトの情報など揃えてみようと思ったのですが、オフィシャル寄りなサイトでも、これは違うのでは・・ということが度々あるので鵜呑みにしてはいけないなと思いました。
そんな時に、お手軽に実測できるツールがあるのはとても心強いです。

なるべく信頼できそうなデータを集めていますが、だいぶ頭が混乱しながら作業したので、間違いなどありましたら教えていただけると助かります。

Chocスイッチには色々な特性があるので、使用用途によって色んな箇所で使ってみるとおもしろいと思います。 

明日はガチハムさんです。

この記事はClaw44とGravity Keycaps MXで書きました。

 

 

投稿者 : CraftDaily on

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